【日曜メッセージ】「休ませてあげよう」

Date:2020.11.22

『疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。・・・わたしの軛は負いやすく、わたしの荷は軽いからである。』

(マタイによる福音書11章28~30節)

 私は獣医師で、人の医療の研究もテーマにしています。ニュースで良く聞く『サイトカインストーム』や『膜型人工肺ECMO』の研究もしています。実はその研究では、ちょっと有名人です。『炎症』とそれが暴走しないよう制御する『抗炎症』という反応のスイッチを入れる物質がサイトカイン。攻撃と防御が制御できず『嵐・ストーム』を起こしている状態が『サイトカインストーム』。その仕組みと、どう制御すれば重症化しないか等の研究をしています。これがまた複雑で、一筋縄にはいきません。

身体は、制御(コントロール)できなくなると、大変なことが起きます。このような『ストーム』は、人の『心』でも起こるのです。悲しいことに、芸能人等の『自殺』の報道を目にします。自殺者が増えているのは、『コロナ禍』が影響しているのも事実だと思います。そのような中で聖書は言います。『あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。・・・試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。』(コリントⅠ 10の13)。つまり、必ず、『逃れる道』を用意してくださるのです。

それでも、本当に苦しい、しんどい、辛い時、どうしたら良いか?それが、今日の聖書です。神さまは『わたしのもとに来なさい。』『休ませてあげよう。』と言われます。『わたしのもと』とは、死んで天国にのぼることでは決してありません。礼拝や教会で、神さまの『愛』に触れることです。どうしても解決できない、難しく苦しい問題がある時は、『逃げてもよい』、『休んでもよい』のです。今日の聖書の箇所にある『軛』は、農作業の時に牛と牛を繋ぐ道具。『わたしの軛を負い』とは、『いつも共にいて、私たちの苦しみを共に担ってくださる』ということです。その軛は負い易くて軽い。つまり、神さまが寄り添い、手を差し伸べてくださるのです。

人の『命』は神さまからのプレゼント。神さまは、そのプレゼントをちゃんと大事に守ってくれる場所を用意してくださいます。それが礼拝であり、教会です。皆さんも、本当に苦しいとき、本当に悩むとき、『心』を制御仕切れないときは、いつでも神さまのもとに『逃げて』『休んで』ください。神さまは必ず『救いの道』を、神さまの『愛』を授けてくださいます。

(宮庄 拓 酪農学園大学獣医保健看護学類講師)