【日曜メッセージ】「 エンゼルマーク 」

Date:2021.07.11

「慈善は国を高め、罪は民の恥となる」

( 箴言14章34節 )

 

新しい事業を始めるということは、困難が伴うものです。そのような中で、聖書の言葉に励まされて会社を創業していった人たちがいます。彼らはみな聖書の言葉に支えられていったのです。森永製菓創立者の森永太一郎さんも聖書の出会いが人生を大きく変え、今の会社を建てる機会となります。

かつてのエンゼルマークの「TM」のイニシャルは太一郎・森永の頭文字です。米国でマシュマロをエンゼルフードと呼び、森永さん自らがこのマークを考案します。エンゼルは天使の意味で、神様の使いです。

破産した陶器会社再建で米国に渡り、全てを失う中で森永さんを救ったのがキリスト教会でした。彼は恩義を感じキリスト者となります。天使が森永さんの命を救う姿をマークとします。米国で食べたお菓子を日本の子どもたちへと、西洋菓子の製法を学び帰国。神様のために仕事をするのだと、菓子を積んだリヤカーに大きく箴言14章34節「義は国を高くし、罪は民をはずかしむ」。Ⅰテモテ1章15節「キリスト・イエス、罪人を救わんために世に来たりたまえり」を記して売り歩くのです。人からは「耶蘇(やそ)の菓子売り」と冷やかされながら夢を抱いてリヤカーを引く姿がありました。その志しは人の心を動かし、良き協力者が与えられ、形となってゆきます。会社が軌道に乗りかけた1923年、関東大震災がおきます。社員の反対を押し切って、被災された人々に倉庫にあるお菓子を無料で配りました。かつて自分が助けられた慈善の心、キリストの心に突き動かされたのです。

酪農学園創始者の黒澤酉蔵先生も一匹の牛とリヤカーを借り、自ら絞った牛乳を売り歩き始めました。共にその志を支えたのは聖書の言葉です。森永さんは6歳で父を亡くし親戚の家を転々と育ち、12歳まで読み書きも自分の名も正しく書けない中、苦労し学び、米国にも渡った人です。多忙で一時はキリスト教から離れますが、晩年「我は罪人の頭なり」を演題にキリスト教伝道で全国を回り73歳で天に召されたのです。

聖書の言葉は人の心をとらえ、その人の人生を変えていく力があります。ぜひ人生を変える聖書の言葉に出会ってほしいのです。

 (日本基督教団野幌教会牧師 福島 義人)