【日曜メッセージ】 「 純真な信仰 」

Date:2022.07.07

「その信仰は、まずあなたの祖母ロイスと母エウニケに宿り…」

テモテへの手紙二 1章5節

 

何代にもわたって引き継がれてゆく信仰があります。テモテに記した手紙の中で、使徒パウロは、祖母、母、あなたへと引き継がれる「純真な信仰」に目を留めます。

日本のプロテスタント教会で最初に牧師になったのが、小川義綏(よしやす)という農家の長男でした。それは145年前の話です。日本の歴史からすれば最近のことです。

その後、何代にもわたり牧師となったとの話は聞きません。クリスチャンでは、せいぜい五代目か六代目です。欧米と比べると歴史の違いを痛感させます。

老舗の店主、農業、何代も続く医者、お寺の住職や神社の神主さんに至っては何十代目と聞き驚かされます。でも何代にもわたり一つの仕事を引き継いでゆくというのは本人しかわからない大変な苦労がありましょうか。以前、県主催の研修会で宗教部門での話を頼まれ、住職さんと共に講演したことがありました。住職とは読んでのごとく、住むことが仕事です。そうすることで昔から地域の大きな責任を担う良き働きをなしてきたのです。けれどもご住職が言うには、小さい頃からそこに住んで育ち、周囲の人々の期待を痛感しながら育つということは、また広い敷地のお寺の管理運営には大変な責任と厳しさがあると聞かされ、そのプレッシャーと責任の重さを改めて覚えさせられました。

何代にもわたる家の仕事の後継者として学ばれている方もおられましょうか。大変さもと同時にそこにはたくさんの出会いと喜びもまたあることです。今日の聖書でパウロは引き継がれてゆく信仰に敬意を表し、「純真な信仰」、「純真」という言葉で表現しました。どうか様々な経験の中で「純真な」思いをいつもどこか大切にしながら歩んで欲しいのです。

日本基督教団野幌教会牧師 福島 義人