【日曜メッセージ】 「 髪の毛まで 」

Date:2022.10.30

「それどころか、あなたがたの髪の毛までも一本残らず数えられている。恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている」 

ルカ福音書12章7節

信頼できる方が傍にいるか否かで人生は随分違うものになります。デンマークの神学者キルケゴールは夕闇迫る夏の海辺で波を見ていると虚無感に襲われ、突然、鳥の群れが頭上を飛び上がるとマタイ6:28「…あなたがたは鳥よりも価値あるものではないか」が浮かび、不思議に癒されるのでした。最も信頼すべき方の心に触れる時に得る平安と慰めでしょうか。人は誰もが弱く頼りになりません。不信感を持てば監視されるような窮屈さへと変わります。

聖書は、人の罪を贖うため代って十字架に架かるほどに人を愛された神の独り子イエス・キリストこそ信頼すべき方だと言います。そのキリストが私たちを覚えられ、傍らにおられることを「雀と髪の毛」を例にあげ説明します。

雀はありふれた小鳥です。けれど「その一羽さえ、神がお忘れになるようなことはない」、ましてや一人一人を神様はどれほど愛されておられるかというのです。更にそのまなざしは髪の毛一本一本にまで及ぶと言われるのです。そのような愛に満ちた方を恐れなさいと。実は「恐れ(フォベオー)」には、怖いと畏敬の二つの意味があります。何を恐れず、何を畏れるべきか私たちが判断すべきことです。

さて、クリーニング白洋舎の創立者はクリスチャン青年の五十嵐健治さん。詩篇51:8「わたしを洗ってください。雪より白くなるように」の聖句が彼の心を捕らえました。最初は困難の連続です。事故や親戚による会社の乗っ取り、恐怖と人間不信に陥る中、妻の一言が彼を救うのでした。それは「あなた、私たちは人には捨てられましたが、神様には捨てられません」でした。今日も神様は一人一人を覚えておられます。その恵みを覚えて歩んで欲しいのです。

日本基督教団野幌教会牧師 福島 義人