【日曜メッセージ】 「 天国と地獄 」

Date:2022.11.20

ヨハネが捕らえられた後、イエスはガリラヤへ行き、神の福音を宣べ伝えて、「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」と言われた。

(マルコ福音書1章14~15節)

 

ある男が夢の中で、死ぬ前に天国と地獄を見たいと神様に祈ると、天使が来て願いを叶えます。男は目隠しされ、地獄の扉の前に運ばれます。扉の向うは行けないので鍵穴から中を覗くと、高級レストラン、まるで宮殿のような豪華な広い部屋で贅沢な食事を前に大勢が無言で食事をしている。「本当に地獄か」と男は聞くと、天使は「よく見なさい」と言う。人々は片手を椅子に縛られ、もう片方に長いフォークがつけられ、遠くの食べ物は取れても自分の口に入れられない。長いフォークが空しく舞うだけで、誰もがイガイガしい顔で座っています。

天使は天国へ連れてゆきます。男は目隠しを取り、鍵穴から覗くと先程地獄で見た景色でした。みな片手を椅子に縛られ、もう片方に長いフォークがつけられ、遠くの食べ物は取れても自分の口に入れられず…。困惑する男に天使は「よく見て聞いてごらん」。確かに何か違う。皆の楽しい笑い声が聞こえます。状況は地獄と変らない。自分では食べられないけれど、他人に取って食べさせることはできます。一人の優しさが、周囲の頑なな心を動かし、笑顔溢れる楽しい祝宴の場となるのです。

置かれた状況を天国にも地獄にするのも、私たちの少しの気づきと行いにあるかもしれません。神様が創られたこの世界を「神の国」とすべきは聖書が一貫して私たちに示す中心課題です。かつてクリスチャン黒澤酉蔵先生も「神の国」運動を担うべく酪農学園を創立してゆきました。酪農家、農民が置かれた過酷な状況を覚え、教育をと考えたからです。やがて政治をも動かさねば拉致があかないと知事に立候補するほどでした。「健土健民」に込めた「神の国」の祈りを覚えたいのです。

 

日本基督教団野幌教会牧師 福島 義人