【日曜メッセージ】 「 パンドラの箱 」

Date:2022.12.11

「わたしの愛する兄弟たち、思い違いをしてはいけません。良い贈り物、完全な賜物はみな、上から、光の源である御父から来るのです」

ヤコブの手紙1章16~17節

 

「良い贈物は…みな御父から来る」と聖書は言いますが、神様からの「良い贈物」で悩むことがあります。私の好きな詩に「同じ風が吹いているのに ある舟は東へ 他の舟は西へ行く どちらに行くかは風によるのではなく、帆の張り方によるのだ」があります。同じ条件でも操作の仕方で方向は変わります。神様からの贈物を豊かにするのか否かは、私たちの心の有様にありましょうか。

聖書は「耐え忍ぶ」心が必要と言います。「忍耐」と「我慢」は意味が違います。我慢は「自分を偉く思い、他を軽んじること」。我慢しても腹の底が怒りや憎しみならどんな意味がありましょう。我慢ではなく忍耐なのです。

「パンドラの箱」はギリシャ神話。ゼウスがパンドラにあらゆる禍を封じ込め人間界に持たせた箱なのです。

この箱を開くと、あらゆる禍、不幸が人間界に飛び出し、急いで蓋を閉じても時すでに遅し。その箱に希望だけが残ったといいます。禍いと思われる様々な出来事の中にもかすかに希望が残されているのは、有難いことです。

ちなみにパンドラとはギリシャ語のパン(全ての)ドォーレア(贈物)の合成語。神様の贈物が何を意味しているのかは、心を神様に向けて考えるしかありません。

さて、先週から世界中のキリストの教会はアドベント、神様の御子が生まれることを待ち望む期間へと入りました。4本のロウソクに光を灯しクリスマスを待ちます。

2022年目のクリスマス。人々から見捨てられた暗く寒い飼い葉桶の御子に希望を見出した人々によってキリスト教は今日に至ります。パンドラの箱の残されたのも希望でした。神の愛の希望の光に心を向けたいのです。

 

日本基督教団野幌教会牧師 福島 義人