【平和礼拝メッセージ】「 平和を実現する人 」

Date:2023.08.22

8月に2回行われる平和礼拝から、メッセージを送ります。(平和礼拝Ⅰ)

「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。」

 マタイによる福音書5章9節

「人は泣きながら生まれてくる」とは、シェークスピアの言葉です。赤ちゃんの元気な泣き声に、人々は新しい命への喜びと平和に包まれます。今、ウクライナではミサイルの恐怖の中での出産です。兵器は殺人の道具。親は人殺しをさせるために子を育てる訳ではありません。私は平和の大切さを感じる心が大切と考えます。

栗原貞子さんの詩『生ましめんかな』に「こわれたビルディングの地下室の夜だった。原子爆弾の負傷者たちは…」と。32歳の時に彼女も被爆し地獄を経験しました。そこから平和を願う活動が始まります。

広島女学院の8月6日(月)朝8時17分は、礼拝を終え教室に戻る途中でした。焼け落ちた廊下は礼拝堂から教室まで遺骨が並んで残されました。突然、断ち切られた人生、そこにいた事が問題なのでしょうか。原爆は仕方ないとの声は、無差別殺人兵器がどれほど多くの尊い命、人生を理不尽に奪ったことかを結び付けて考えない言葉です。

東京の恵泉女学園はキリスト者の河合道さんが94年前に建てた学校。戦争は男が始めるが、男を育てるのが女性なら、平和の大切さを語れる女性を沢山育てればよい。その願いで建てた学校です。

神の創られた世界を人はどう管理するのか。神学者D.ボンヘッファーは、戦争も神の御計画だから仕方ないとは考えませんでした。罪の世界が、神の平和を知らないからと、平和を実現する仕え人を望み、ナチスに捕らえられ39歳で処刑されます。けれどその平和への祈りは今に引き継がれます。

原爆は知恵ある人々が造りました。先程の「人は泣きながら生まれてくる」は戯曲「リア王」のセリフでした。愚か者で満ちたこの世界に生まれた悲しみに泣かざるをえないというのです。どんな世界にするのかは私たちの責任です。

イエス様が2千年前に語られた言葉が今も人々へ問いかけます。「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる」の言葉を心に留めたいのです。

(日本基督教団野幌教会牧師 福島 義人)