【日曜メッセージ】「 あなたが隣人となる 」

Date:2024.02.11

そこでイエスは言われた。「行って、あなたも同じようにしなさい。」

ルカによる福音書 10章37節

このルカによる福音書10章の聖書箇所は「善いサマリア人のたとえ」と言われるとても有名なお話です。ここには、隣人愛、それも実践としての隣人愛が教えられています。その内容を聞いて、とっても素晴らしいと思いませんでしたか。相手を思いやり、相手の必要を即座に察して、自分から犠牲を払い、できる限りを尽くして相手を助けようとするサマリア人。

あなたにとっての隣人とは誰のことでしょう。近しい人、仲の良い友人、家族や親族、見知った近所の人かもしれません。でも、聖書の言う「隣人」はそのようなすでにあなたが受け入れている人たちのことにとどまらないのです。ここに登場するサマリア人は、ユダヤ人からは軽蔑され、差別され、敵視され、決してかかわりを持たないようにされていた人でした。聖書は表面的なきれいごとを伝えているのではないのです。むしろ「あなたの敵を愛する」ことこそ必要なことなのだと、サマリア人の姿にたとえて語るのです。見ず知らずの人も、親しみを感じられない人も、違う価値観を持っている人も、神の愛の中で出会う時には、すべての人が隣人であることに気づくようにと語るのです。

世界のすべての人がこのサマリア人のようであれば、今の世界の問題の多くは解決しているのではないでしょうか。その意味では、この話はあまりに現実離れした理想論のように思える人もいるのではないでしょうか。しかし、あえて聖書は、対立している人の間にも「愛の行い」がなされるべきことを教えるのです。聖書はその模範として、私たちのために命を犠牲にして愛を貫いた、神の子イエス・キリストを指し示しているのです。

私たちは1年生で愛の実践活動を経験し、誰に対しても「愛」をもって接する大切さを学びました。ここにいる全員がそのことをすでに学んでいるのです。「行って、あなたも同じようにしなさい」と、あなたが隣人となる実践を促しています。思うだけではなく、行う人として、実践する真の隣人となろうではありませんか。

(宗教部長 久保木 崇)