【日曜メッセージ】「平和と希望を生み出す食べものづくり ―― マキノスクールの試み」
Date:2025.06.01
「彼らは剣を打ち直して鋤とし 槍を打ち直して鎌とする。」
(イザヤ書2章4節)
今日はじめに読まれた言葉、イザヤ書2章の聖句、これは、3千年前のものです。戦いの武器としての剣と槍、一方で食べものをつくるための鋤と鎌、皆さんならどちらを手に取りたいですか?過去の戦争の歴史を見ると、人々は悲惨な殺戮や破壊のために、最新鋭の技術や知識を進化させてきたことが分かます。その結果、私たち人類は安心安全を確保することを実現したでしょうか?近年の戦争や紛争には、ドローンが大量に使われるようになり、その技術は瞬く間に進化しました。気が付けば、人間は人を殺傷することに対して何の痛みも感じない「機械」と戦うことを余儀なくされているのです。その機械の部品は日本人が作ったものかもしれないとしたら・・・恐ろしいことです。
人や自然を破壊する技術の開発に心力を注ぐより、その技術や知識を活かしながら、人と自然の共生の為に力を合わせましょう。特に、全人類が必要とする「食べものづくり」は大切です。酪農学園は、大学も高校もそのために建学の精神に立って設立されました。私は、インドでも酪農学園と同様なコンセプトでずっと仕事を続けています。今日は、21年間のインドでの活動を皆さんにシェアしていきたいと思います。
世界には今でも対立や民族・宗教・貧富・男女等の差別があり、権力の争い、さらには食べ物・作物の奪い合いが続きます。ストレス社会の原因は弱肉強食の支配にあると言えるのではないでしょうか。インドではカースト制度があり、身分制度が支配しているのです。アメリカでも差別社会が厳然としてあります。では聖書は何と言っているでしょうか。「神を愛す」という第一の掟、そして「隣人を愛す」という第二の掟。口で言う言葉以上にただならぬことです。信仰とはそのためのものなのです。神の御心を行うものは兄弟だと聖書は言い、一つとなり、身分も、人種も、男女の区別もないのだと聖書は言うのです。
マキノスクールは、そのことのためにチャレンジしてきました。〈取り組みの写真画像を紹介しつつ〉現実の課題に直面しながら、信仰によって一つとなることを目指して、キリスト教信仰に立って宗教の垣根も超えて取り組みを始めました。教育と研修の機会を増やし、女性の活躍の機会が増えました。女性によって社会は大きく変わります。そして、SDGsも、ジェンダー問題も、平等問題も、異なるものとの共存と、理解しあうことを実現してきましたし、これからも続けていくのです。隣人愛の実践は、次のイエス・キリストの言葉の姿で実現するのです。皆さんもそうなのです。
『わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。』マタイによる福音書25章34節
(日本基督教団インド派遣宣教師 三浦 照男 酪農学園大学卒
インドのサムヒッキンボトム農工科学大学継続教育学部長・教授)