2025年度 全日制課程 卒業証書授与式 校長式辞

Date:2026.02.28

2025年度 全日制課程 卒業証書授与式 校長式辞

 3年生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さん一人ひとりのこれまでの努力と成長に心から敬意を表すとともに、校長として、また一人の隣人として、深い感謝と誇りを持って、今、皆さんを見つめています。

 またご家族・ご親族をはじめとした保護者等の皆様にも、心からのお祝いを申しあげます。本日ここに、卒業証書授与式を執り行うことができましたことは、この上ない喜びです。この素晴らしき時に、学校法人酪農学園理事長・髙島英也様、PTA会長・西村公一様をはじめとした多くのご来賓の皆様、並びに深い愛情を持ち、日々お子様に寄り添い、今日まで育まれてきました保護者等の皆様、そして本校教職員と在校生に見守られて、先ほど、268名に卒業証書を授与することができました。

 皆さんは、建学の理念のもと、学習、学校行事、部活動、生徒会活動等に熱心に取り組み、3ヵ年の教育課程を無事修了され、高校生活最後の時を迎えると同時に、それぞれの人生を歩むための大事な出発点に立っています。皆さん自身がまだ経験していない新しい「舞台」へ、更なる成長のための第一歩を踏み出すにあたり、幾つか言葉を送らせいただきます。

 1つは、「気付く」ことの大切さです。人は、成功体験はもちろん、失敗や躓きを経験することで、成長するとよく言われます。しかし、同じ経験をしても、「大きな成長を果たす人」と「そうでない人」がいます。その「違い」は何でしょうか。才能や環境等では決してありません。その「違い」は、「何かに気づくことができたのか」ということです。そこに、人間的成長の分岐点が隠れています。自分の過ちや弱さに気づくこと、自分が誰かに支えられていたことに気づくこと、言葉にされなかった他者の思いに気づくこと、もちろん、自分の価値やその成長に気づくこと等、一つひとつは「小さな気付き」であっても、その積み重ねの先には「大きな成長」、つまり人間としての深みを増すことに繋がっています。

 我々は、あらゆる事が激しくかつ加速度を増して変化・進化していく時代の中心に身を置いています。自身が理解し、判断・決断する前に、次々と新しい何かが生み出され、今以上に多様で複雑な状態が待ち受けているのは容易に想像できます。そのような中では、従来の常識が判断の拠り所にならない可能性があります。「気付き」は、時と場所を選ばず、年齢の長幼も関係ありません。すなわち、毎日が「成長」への出発点とすることができるのです。時に迷い、戸惑うこともありますが、些細なことに気づき、成長へと繋げられる行動の好循環を実践してください。

 2つ目は、聖書の言葉から。本校はキリスト教の精神に基づき、神を愛し、人を愛し、土を愛す「三愛精神」のもと、社会に貢献し、他者に「喜び」と「幸せ」を提供できる人間の育成を目指し、各人が有する価値観や考え方の違いを受けいれて、他者を尊重し、生かし合うことの大切さを日常的に説いてきました。

 今年度の年度聖句は、ヨハネによる福音書15章11節「これらのことを話したのは、わたしの喜びがあなた方の内にあり、あなた方の喜びが満たされるためである。」です。この聖句は、イエスが弟子たちに語った一節で繋がること、思いを一つにすることの大切さを説いてもいます。すなわち個性ある一人ひとりでありながら、共通理解や信頼、対話等を通じて、互いのつながりを認識し、その結束を強め、大いなる喜びや幸せ、そして愛情を共有することができることを示しています。

 未来社会は、AIやデジタル技術の進化が一層進み、更に便利になる一方で、人と人との繋がりの希薄化も懸念されています。だからこそ、「人を喜ばせ、幸せにする力」は、どのような知識や技術よりも尊い価値になり得ます。言葉や行動、笑顔の一つひとつが、自らの人生だけでなく、誰かの人生を「喜び」や「幸せ」に変えることもあるのです。どうか自分のためだけでなく、誰かのために行動できる人であってください。

 人生を歩み進めていく中で、「答え」や「正解」は、すぐに見つかる訳ではありませんし、他者が導き出す「答え」と「正解」とが必ずしも一致する訳でもありません。恐らくは、「なかなかうまくいかないなぁ。」と思うことの方が多いでしょう。しかし、自らを信じ、自らの夢や目標に向き合い、試行錯誤を繰り返しながら、自らに問いかけてください。「ここから、自分は何に気付けるだろうか。」と。そこから、新たな気付きを得て、成長し、今後の人生を積み重ねていく。その先に、誰のものでもない、卒業生一人ひとりのかけがえのない「景色」が広がっている筈です。ゆっくりで構いません。歩幅は人それぞれ、花や木々にもそれぞれの季節があるように、個性の違う皆さんの力が開花し、発揮されるのも一律に同じではありません。気付きと行動のサイクルを忘れず、着実に成長してください。

 保護者等の皆さまに一言申し上げます。本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。お子様が人生の節目をまたひとつ迎えられましたことに、喜びも一入のことと拝察いたします。成長を願い、これまで支えてこられた中には、ご苦労されたことも多かったと存じます。改めて、心より敬意を表しますとともに、本日まで、本校の教育活動にお寄せいただきましたご支援とご協力に深く感謝を申し上げます。

 最後に、卒業生の皆さん、「教師と生徒」という一つの関係性は終わりを告げますが、これからは未来の社会や世界をより善く、そして幸せに導き、築いていく仲間・協力者として、より一層互いを尊敬し、共に歩みを進めていきましょう。皆さんの輝かしい未来を心から祈念し、校長の式辞といたします。

 卒業おめでとう。そして、ありがとうございました。

2026年2月28日

酪農学園大学附属とわの森三愛高等学校

校長 石川 和哉