【日曜メッセージ】「アーメン・ソーメン」

Date:2020.06.21

今週の日曜メッセージは、6/17の学校礼拝のメッセージをお届けします。この日の礼拝には、酪農学園とゆかりの深い野幌教会で牧師をされていらっしゃる、福島義人先生をお迎えしました。優しい語り口の中に、熱い思いと祈りを込めて、聖書からのメッセージを語ってくださいました。

「兄弟たち、私たちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように、アーメン。」

(新約聖書 ガラテヤの信徒への手紙 6章18節 )

お祈りや讃美歌の最後に「アーメン」を唱えます。慣れないと気恥ずかしいかもしれません。「アーメン」はヘブライ語で「真に、真実に」の意味ですが、単なる同意や自画自賛でなく、人の思いを越え「神の御心となりますように」との願いが込められます。ガラテヤの信徒への手紙もその意味を込めて、「アーメン」で終えます。

私は父が牧師でしたので、教会で生まれ育ちました。子どもの頃、「アーメン・ソーメン・チャーシューメン」とからかわれ、悔しい思いをしました。親や兄弟まで屈辱された思いがしたからです。ところがこのフレーズ、九州では「アーメン・ソーメン・冷ソーメン」。その由来はナポレオンの親戚で元・貴族のマルク・マリー・ド・ロー神父(1840.3/26~1914.11/7) の働きにあるのです。彼は28歳で来日、印刷技術、建築、様々な分野に長けた人で、禁教令が解かれる中、キリスト教弾圧で傷ついた人々に寄り添い、様々な援助や技術指導をします。東京では修道院を、長崎周辺には会堂を建て、孤児院も作ります。かつて島原周辺では島原の乱で多くの農民が殺され、年貢を納めるため全国から農民が送り込まれます。神父は素麺製法を受け継いだ家族からその秘伝を学び、貧しい人々に「アーメン、主の祝福があるように」と祈りながら教えたのだそうです。多くの人が助けられ、人々はそんな神父に敬意をもって「アーメン・ソーメン」と言ったのが始まりと聞きます。

貧しい人々と歩み、「アーメン(神の御心となりますように)」の心を大切にして歩むド・ロー神父は74歳の時、大浦天主堂司教館屋根修理の最中、足場からの転落が原因で天に召されます。長崎では、今も神父様の尊い働きを偲び「ド・ロ様ソーメン」が売られています。「アーメン」と唱える時、その祈りに生きた人々の心に重ねてみてください。

 (福島 義人 日本キリスト教団野幌教会牧師、のっぽろ幼稚園副園長・同幼稚園宗教主任)