【日曜メッセージ】「収穫感謝400年前の出来事」(収穫感謝礼拝)

Date:2020.09.27

本日は、収穫感謝礼拝のメッセージをお届けします。

「あなたの中に住んでいる寄留者と共に喜び祝いなさい」

(旧約聖書・申命記26章11節)

米国では毎年11月が収穫感謝祭。南北戦争で分裂した国民の心を一つにして新しく始めたいとの願いからリンカーン大統領が定めます。由来は信教の自由を求め英国から米国に渡る帆船メイフラワー号の人々でした。

到着地を違えたため、冬の半年間に半数が飢えと寒さで亡くなる中、先住民が心配し、種や栽培法を教えてくれたことで生き延びたとも伝えられます。こうした関わりから、秋の収穫物を前に先住民を招き、神の恵みを感謝し、新しく始めることを願って収穫感謝礼拝を持ったのです。聖書の申命記の人々も神様の前に「寄留者と共に喜び祝う」時を持ち、困難を前に新しく始めてゆくのでした。

来年は米国最初の収穫感謝礼拝から400年。今年の9月16日(水)はメイフラワー号がアメリカを目指して出港して400年目。全長は約32m、当時の遠洋航海でよく使われた船の半分しかない帆船に、定員オーバーの約130名がひしめく、平均時速2.8km、66日の長い旅でした。乗客のうちでピューリタンは全体の三分の一、彼らは逃げるように新天地を目指していましたから、周りからは良くは思われません。船をチャーターする資金もなく、狭い貿易船に便乗しながら「ノアの方舟(はこぶね)」の意味をどれほど心に噛みしめて旅したことでしょうか。

勉強、人間関係…。世の中、困難な事ばかりです。でも捨てたものではありません。米国詩人ウィルコックスは帆船を見ながら詠いました。「全く同じ風が吹いても、ある船は西へ、ある船は東へ行く。それは風のせいではなく、帆の張りかたが行く先を決めているのだ。同じ様に私達の人生の方向を決めているのも周りの環境ではなく、私達の魂である」と。

今日は収穫感謝礼拝。多くの収穫物を目の前に置いて礼拝ができることは感謝なことです。ピューリタンの人々は神が共にいて導かれることを信じて、それを心の軸にして旅を続けました。そして収穫感謝を祝うことをしながら、新しい道を歩んでいくのでした。困難の連続に不安とみじめさが迫る中でも、彼らは信じて進んでゆくのであります。失敗してもかまわない。主が共にいて導かれる確信が、困難な旅をスリル溢れる豊かな旅へとさせましょう。神の恵み溢れる収穫を前に祈りと讃美を共にしたピューリタンに思いを重ねつつ、私たちも新しく始めたいものです。

(日本基督教団野幌教会牧師 福島 義人)