【日曜メッセージ】「思いやるこころ」

Date:2021.02.14

大きな地震の被害に遭われた皆様に、心からお見舞いを申し上げます。余震を含む注意情報が発信されております。くれぐれも気を付けてお過ごしください。皆様の無事を祈りつつ、本日も日曜メッセージをお届けいたします。

「だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。これこそ律法と預言者である。」

(新約聖書 マタイによる福音書 7章12節

連日ニュースでは、新型コロナウイルスにより医療現場が逼迫し、医師や看護師などの医療関係者が大変な思いをしている、と報じられます。みんなで助け合い、協力してこの危機を乗り越えていく必要がある一方で、感染した方や、医療・介護に従事する人への差別も社会問題となっています。「明日は自分の番かもしれない」とみんなが思えば、お互いに思いやりのある接し方ができるのではないかと思います。

今日はこの「思いやりのこころ」について一緒に考えたいと思います。淀川キリスト教病院名誉ホスピス長の柏木哲夫さんがある本を読んで出会った「思いやり」のエピソードを寄稿されています。私の目にとまったこの感動的な話を紹介します。

東京ディズニーランドのレストランで、アルバイト学生のウェイターが、若い夫婦に対応します。ご夫婦は子どもと一緒ではないのに「お子様ランチ」を注文。ウェイターの学生は、「大人の皆様にはご注文いただけない」との言葉を一度飲み込んで考えます。そして、「どなたがお召し上がりですか?」と尋ねたのでした。ご夫婦から「亡くなった子どものために」と、体が弱くて、幼くして亡くなった子どもの説明を受け、「子どもと来たならきっと一緒に食べたと思って」と、聞いたのでした。若いウェイターは、「うけたまわりました」とオーダーを受けた上で、ご夫婦に「どうぞこちらへ」と言って、2人掛けの席から家族席への移動をご案内し、お子様用の椅子もセットして「では、お子様はこちらに」と言って、まるでその子がそこにいるように接客して立ち去ったという話です。

寄稿した柏木さんは、この青年の素晴らしい感性に目を向けました。「感性」には「気づき」「感動」「行動」が必要だと言います。そして「感動だけではダメで、行動を伴わなければ、感性は完成しないのです。私はこの文章を読んで、『行いが伴わないなら、信仰はそれだけでは死んだものです。』(ヤコブの手紙2章17節)という聖書の言葉を思い浮かべました。」とコメントされたのでした。私たちも「思いやるこころ」を実践できる人になりたいものですね。

<参考記事>『こころの友』(日本キリスト教団出版局発行)に掲載された柏木さんの寄稿より

<柏木哲夫さんの引用文献>『思いやりのこころ』(木村耕一編著、1万年堂出版)

 (聖書科教諭 新井 昭雄)