【日曜メッセージ】「キリストの復活、私たちの希望」(イースターメッセージ)

Date:2021.04.04

あの方は、ここにはおられない。復活なさったのだ。」            

(ルカによる福音書24章6節)

 

紀元33年頃、ローマ皇帝ティベリウスの治世、帝国支配下のユダヤ王国でイエスという人物が十字架刑に処せられました。彼こそが預言書に記された救世主(キリスト)で、支配者による搾取や抑圧からの解放者と信じていた弟子たちは、そのあっけない死を前に悲嘆にくれます。特に、権力者を恐れ3回も「イエスを知らいない」と言ってしまった一番弟子のペトロは、自らの無力さを痛感し、悲しみに打ちひしがれていたことでしょう。そんな中、3日目の朝に香料を塗りに墓に行った婦人たちから驚きの知らせが届きます。墓の中には遺体がないというのです。聖書には、輝く衣を着た二人の人が「あの方は、ここにはおられない。復活なさったのだ。」と婦人たちに語ったとあります。(ルカ福音書24章6節) その知らせを聞いて、弟子たちは驚きと喜びの入り混じった複雑な気持であったでしょう。ペトロをはじめ、権力者を前に一目散に逃げてしまった他の弟子たちは、申し訳ない気持ちでいっぱいだったかもしれません。その後、弟子たちのいる部屋にイエス自身があらわれ、「あなたがたに平和があるように」と言われます。(同36節)なんと優しく、心震わせるような言葉でしょう。自らの失敗で後悔の念に駆られた弟子たちを、心の底から勇気づけるものでした。

時に失敗をして無力さを感じたり、困難に直面して意気消沈してしまう私たちにも、復活のイエスは「あなたがたに平和があるように」と今も語ってくださいます。イエスが復活したということは、その教えが真実であり、十字架の身代わりの死によって私たちの過去の罪が赦されたことも真実であることになります。そうであるなら、私たちはどんなことがあっても、たとえ死に直面しても、希望をもって生きることができるのです。

聖書には、その後弟子たちが、むち打ちや投獄などもろともせず、イエスの復活を宣べ伝えていった様子が生き生きと記されています。その教えはさらに多くの人々によって後世に伝えられ、今やキリスト教は世界随一の宗教となりました。2020年4月12日復活祭、第266代目のペトロの後継者を自任するローマ教皇フランシスコは、世界に向けて声高らかに宣言しました。「私たちの希望、イエス・キリストは復活された!」

(宗教部長 渡邊 淳)