【日曜メッセージ】「 一粒の麦 」

Date:2021.05.23

「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ」

(ヨハネによる福音書12章24節)

 

札幌駅近くの「共済ビル」の壁に、麦の穂とこの聖書の言葉がヘブライ語で刻まれています。農業協同組合法施行20年を記念した建物です。かつて農業協同組合(農協)を組織させたのが賀川豊彦さんで、戦前の日本の労働組合や農民運動など「よりよい社会づくり」に生涯を捧げた牧師でした。

以前の「JA」マークに「協・麦の穂・十字架」が記されていたのは賀川牧師の影響です。共済ビルの聖書の言葉は賀川牧師の愛唱聖句で、関係者がその「一粒の麦」への志しを後世に残そうと刻ませたのです。

本校の校名の「三愛 (神を愛し、人を愛し、土を愛する) 」は創立者の黒澤酉蔵先生の教育理念ですが、これはデンマークの哲学者・教育者として活躍したグルントヴィ牧師の言葉です。黒澤記念講堂資料室にはグルントヴィ牧師の肖像画が飾られるのは、黒澤先生のグルントヴィ牧師への熱い思いからです。

酪農大学校歌『酪農賛歌』の歌詞は賀川豊彦牧師の作です。賀川牧師も「三愛主義」に大きな影響を受けた一人でした。賀川牧師が酪農大学に来訪の際、黒澤先生から依頼を受け、その教育への思いを聞き校歌にしました。遠くデンマークのグルントヴィ牧師の志しを受け継ぐ二人の絆を示す歌でしょうか。今日は賀川牧師が「一粒の麦」に込めた思いを覚えたいのです。

 

酪農讃歌

作詞:賀川豊彦

作曲:賀川純基

1.黒土よ みどりなす草 身につけて 地上をかざる日のもとに牛追う若人はぐくめよ

窮乏の底に沈める国おこせ 乳房持つ神 我とともなり

2.はらからよ 手に手をとりて 村まもり 弱きをたすけ 貧しきを いたわるために 勇みたて

窮乏の底に沈める国おこせ 乳房持つ神 我とともなり

3.みひかりに 恵はつきず つまずく日 倒るる時も 見捨てずに 我をはげます 神の愛

窮乏の底に沈める国おこせ 乳房持つ神 我とともなり

            (日本基督教団 野幌教会牧師 福島義人)