【日曜メッセージ】「 朝の9時のできごと 」

Date:2021.05.30

「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。」

使徒言行録1章8節

 

今週の日曜日は、教会暦で聖霊降臨日(ペンテコステ)を記念する日でした。クリスマス、イースターと並んでキリスト教にとって重要な日であります。ペンテコステの日に、三位一体の神の第3の位格である聖霊がイエスの弟子たちに注がれ、弟子たちはその聖霊の力によって大胆にイエスが救世主であることを証していくのです。そして、信じる人々が集まり、教会が形成されていきました。いわばペンテコステは教会の誕生日と言えます。

聖霊降臨の様子は、朝の9時に弟子たちが他国の言葉で話し出すという奇妙なものでした。しかし、これは言葉の違いによって生み出される様々な混乱を修復し、人々を一つにするという力の現れだったのです。この世界では今も尚、対立や争いが絶えません。それらの原因の主なものは、言葉にあるのではないでしょうか。国と国が対立する背景に、言葉の違いによる誤解や理解不足があるのではないでしょうか。私たちの身近でも、相手の言葉を誤解したことによる対立や争いが見られます。世界中の人々が同じ言語であり、円滑にコミュニケーションが図られれば、この世界はなんと幸せになることでしょうか。聖霊は、多様な言語をひとつにまとめ、言葉による混乱を修復し、人々を一つにする力があると言えます。聖霊降臨の出来事を通して多くの人々がキリスト教徒となり、心を一つにして礼拝し、食事をし、交わりをして教会を形成していきました。

聖霊の働きはこの時の一度限りではなく、その後の世界の歴史の中で様々な形で現れていきます。病気が瞬時に癒されるなど使徒言行録に記されているような奇跡的な出来事の報告もなされています。しかし、最も重要な聖霊の働きとは、人々が互いに愛し合うようになることなのです。愛することに困難を覚える私たち人間が、真実の愛を実践することができるための原動力が聖霊の働きであります。

三愛主義を唱えた黒澤酉蔵先生の働きも聖霊に突き動かされたものと言えるでしょう。「神を愛し、人を愛し、土を愛す」の実践者となるために、求める者に良いものを与えてくださる神様に聖霊を注いでいただきましょう。そして、それぞれが目指す道で、愛の実践者とならせていただきましょう。

(宗教部長 渡邊 淳)