【日曜メッセージ】「 Only oneの尊い命 」

Date:2021.06.13

「あなたがたの中に百匹の羊を持っている人がいて、その一匹を見失ったとすれば、九十九匹を野原に残して、見失った一匹を見つけ出すまで捜し回らないだろうか。」

ルカによる福音書15章4節

 

「命」は数字の問題ではないのに、いつの間にか新型コロナウィルス感染による犠牲者の人数があまりにも多くなって、数字に対する私たちの感覚が鈍感になり、「命」が「物」のような扱いになっているのではないかと気になっています。

イエス様の教えを通して「命の尊さ」を考えましょう。徴税人や罪人がイエス様の話を聞こうとしてやってくると、イエス様は彼らを迎えて共に食事をしました。しかし、当時のユダヤの社会で徴税人や罪人は社会から差別され、排除されていた人でしたので、イエス様の行動を非難する人々がいました。そのような彼らに対して、例えを用いてイエス様は教えられました。百匹の羊を持っている羊飼いが、見失った一匹の羊を捜しに九十九匹を野原に残して、捜し回ったと言う話です。普通は百匹の中の一匹ならば諦めるのでしょう。しかし、羊飼いは見つけるまで捜し回って、見つけた喜びを皆と分かち合ったのです。羊飼いはそばにいる九十九匹と同様に見失われて苦しみと恐れの中にいる一匹を大切にしていたのです。野原で一匹の羊を捜し出すことはとても大変なことです。それだけではありません。その羊を見つけた喜びを皆と分かち合ったのです。一匹の羊のために払った犠牲は大きなものでした。そのことは、この一匹の羊が単なる「数」ではなくて、一つの大切な「存在」であることを表しているのです。なぜなら、この一匹の羊は「Only Oneの尊い命」、存在そのものであったからです。見失った一匹の羊は、百匹の中の一匹ではなくて、「Only Oneの尊い命」なのです。

「命=人」は他に比べられるものは何もありません。「命」は百万人でも、百人でも、一人でも、一人ひとりそれぞれがOnly Oneの尊い命なのです。コロナ禍にあって、感染者への誹謗・中傷が問題になっていますが、どんな理由でも、人をいじめ、排除、差別することなどはできないのです。どんな理由でも「命」を軽んじることはできないのです。それぞれ、かけがえのない「Only Oneの尊い命」なのです。私たちはこの「Only Oneの尊い命」を、日々大切にしていきましょう。

(酪農学園宗教主事 朴 美愛)