【日曜メッセージ】「 平和を実現する人 」

Date:2021.08.29

~剣を鋤、槍を鎌とする~

「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。」

(マタイによる福音5章9節)

 

「平和」とは?一般的に戦争や暴力で社会が乱れていない状態のことです。人は「平和」なしに、幸いにはなりません。だから、人は常に「平和を求めているのです。しかし、現実はどうでしょうか。人類の歴史は戦いの連続だと言っても過言ではありません。悲しいことに今日のアフガニスタンでも。

人類に莫大な犠牲をもたらした第二次世界大戦の後、世界諸国の戦争に対する様々な反省を踏まえて、国際連合(United Nations)が創設されました。そのニューヨークにある本部前には、壮健な男性がハンマーを振り回しながら大きな剣をたたいて鋤を造る青銅の大きなモニュメントが置かれているようです。そして、広場の壁には「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする」(イザヤ書2章4節)が刻まれているようです。人の命を奪う武器が、人の命を生かす農機具になって、世界の平和と安全の維持ができるようにと願いと祈りが込められているのだと思います。

1910年以来日本の統治下にあった朝鮮半島の人々は、日本式の名前に改名させられるなど日本の文化や日本語を強要されました。また、200万人を超える人々が働くために日本に移住せざるを得ませんでした。日本においても、第二次世界大戦中唯一の地上戦である沖縄戦をはじめ、大戦において多くの犠牲が払われたのです。2013年沖縄慰霊の日で朗読された少年の「へいわってすてきだね」という詩が有名になりました。その一部です。

へいわってなにかな。ぼくは、かんがえたよ。おともだちとなかよし。かぞくが、げんき。えがおであそぶ。ねこがわらう。おなかがいっぱい。やぎがのんびりあるいている。けんかしてもすぐになかなおり。

・・・・・このへいわがずっとつづいてほしい。‥‥・

皆さん、「平和」とは何でしょうか。「平和」の漢字の意味を見ると、「平」+「禾・口」=「平和」です。「平等に穀物を食べられる」すなわち、皆が食べ物を分かち合い、共に生きるという意味があるのです。皆さんは幸いなことにあらゆる面で人を生かす「農・食・環境」に関わる働きをするために学んでいるのです。それは、将来のためだけではありません。ひとり一人が日々の学びと生活の中で平和を実現する人として生きるためなのであります。

( 酪農学園宗教主事 朴 美愛 )