【日曜メッセージ】 「 喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。 」

Date:2022.04.10

「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」

(ローマの信徒への手紙 12章15節)

 

新学期がスタートしました。今年度も聖書の言葉を生活の土台として、それぞれの歩みを始めていきましょう。今年度の聖句は、「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」(ローマ12:15)です。感染症や戦争による人と人との関係の分断が叫ばれる現在において、とても重要な言葉であると思います。

この言葉が記されているローマの信徒への手紙12章の文脈をみると、9節から21節には「キリスト教的生活の規範」という見出しがつけられ、私たちの生活のあり方が示されている箇所になります。その文頭に「愛には偽りがあってはなりません」とあります。ここでの愛には、ギリシア語で神の愛を表す「アガペー」が使われ、完全な神様の愛が存在することを踏まえて具体的な生活のあり方が説かれているのです。そして、15節に「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」とあります。周りの人々が普段の生活の中で体験する幸せや悲しみを、自分のことのように一緒になって喜んだり、泣いたりして他者の体験を分かち合うことが勧められています。

このような生き方は、まさにイエス・キリストの生き方そのものです。イエス・キリストは、どんな人とも食事を共にして喜びを分かち合いました。また、身内を失って悲しみの中にある人に寄り添い、涙を流しました。そして、今も復活のイエス・キリストが目には見えないが、聖霊という形をとって私たちにも、このように接してくれているのです。つまり、私たちが喜んでいる時に共に喜んでくださり、悲しんでいる時に共に悲しんでいてくれているのです。このことを信じていくなら、私たちは単に言葉だけではなく、真の意味において「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣く」人になれるのです。

身の回りの人への共感こそが、引き離されたものを一つにしていく原動力です。愛の実践者であるイエス・キリストに倣いつつ、新しい歩みを始めていきましょう。

 

宗教部長 渡邊 淳