【日曜メッセージ】 「 平和を実現するとは 」

Date:2022.09.04

「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。」 

マタイによる福音書5章9節

 今日は、平和について考えさせられる本を2冊紹介します。

1冊目は「いしぶみ」というタイトルの本です。1945年8月6日に、爆心地近くで勤労動員中に被爆した広島二中の生徒達の様子を、ご遺族から聞き取って本にまとめたものです。熱風により即死した生徒、火傷を負って川に飛び込み命を落とした生徒、重度の火傷を負いながら自分の家を目指して歩き続け、家族と再会を果たした後に亡くなった生徒など、被爆の様子が克明に伝わってきます。同時に、ご遺族により生前のエピソードも掲載されており、かけがえのないお子さんの命が一瞬にして奪われた辛さ・悲しさを思うと、言葉にならない重みと平和の大切さを痛感させられる1冊です。

2冊目は谷川俊太郎さん作「へいわとせんそう」という絵本です。この絵本は、「戦争の状態」と「平和の状態」を短い言葉とシンプルな絵が並べて掲載されています。普通の生活に戦争が入ってくるとどういう状況になるか気づかされます。絵本の後半には、敵対する人間にも、それぞれに太陽が昇り、新しい命が与えられ、その命の尊さはどちらも同じであることが描かれています。

わたしもあなたも、全ての人は神様によって命が与えられています。命に軽いも重いもありません。国や状況が違っても、神様の目には皆同じ尊い存在であるということに心を留めることが、「平和を実現する」第一歩だといえるでしょう。互いの存在を尊重しあえるように、神に祈りつつ、今日の聖書箇所を覚えて心に平安を保ちましょう。心で思うことが行動に出るからです。

今月の平和礼拝や奨励、聖書箇所、礼拝堂前に掲示されている原爆のパネルを通して、皆さんは「平和の大切さについて考える夏」になったと思います。今回紹介した本も、一人ひとりの尊い命を奪う戦争を嫌い「平和を実現する」ための一助となれば幸いです。

 

英語科 家山 麻希