【日曜メッセージ】 「 君を待つ世界がある 」

Date:2022.10.09

「子たちよ、言葉や口先だけではなく、行いをもって誠実に愛し合おう。」

ヨハネの手紙一3章18節

  

 いま世界には、本当に苦しんでいる人たちがいます。皆さん方も是非個々の能力を世界を舞台に発揮してほしいと思います。

今年の8月に、ウクライナのリビウからポーランドのワルシャワに行った際に、国境付近でウクライナの家族が別れを惜しんでいる姿を見ました。父親は兵役に就かなければならず、悲しみの別れです。今現実に起きていることです。いかに私たちの日常が、幸せなことかを感じさせられます。

私は41歳の時に日本国際飢餓対策機構の職員となりました。20数年前のことです。エチオピアで国連の機関と共に、食糧配給に携わっていた時、一人の遊牧民の少女の姿を見ました。彼女の家族はみな干ばつのために亡くなってしまったとのことでした。当時その地方では2年間雨が降らなかったのです。その少女の顔と私の娘の顔が重なって見えました。この惨状を見て、仕方がないでは済まされないと強く感じました。

その後父親の立場の人と話す機会がありました。そのソマリ族の父は、わたしに問いました。「わたしはこれからどうしていけばよいのか」。私は返す言葉がありませんでした。次に「こんなわたしたちでもこのまま生きていっていいのか」。私は、「もちろんです。是非生きていってください」と、のどから出かかったが、言葉にすることはできませんでした。その人はまさにすべてを失ってしまった人なのです。私は、彼らに口先だけでしか関わることのできない存在であることを痛感させられました。それまで私は、牧師として愛を語っていても、愛に生きていいないなと感じさせられました。そして、「子たちよ、言葉や口先だけではなく、行いをもって誠実に愛し合おう。」という言葉が頭の中を巡りました。この経験を通して、私は今の働きに就くことになったのです。

皆さんのここでの経験は、自分だけではなく他の人々を輝かせることができるのです。食べることができないで死んで行ってしまう人の数は、1日に19,000人もいます。これを人類の恥であると思ってほしい。皆さん方を待っている人たちがこの世界に多くいます。世界の痛み苦しむ人々の力となるように、この学び舎から旅たっていってほしいと思います。

日本国際飢餓対策機構 田村 治郎