【日曜メッセージ】 「 わたしたちの避けどころ 」

Date:2022.11.06

「神はわたしたちの避けどころ、わたしたちの砦。苦難のとき、必ずそこにいまして助けてくださる。」

詩編46章2節

 

10月31日はキリスト教暦では「宗教改革記念日」です。1517年、マルティン・ルターがドイツのヴィッテンベルク城教会の門の扉に95ヵ条の提題というものを貼り出して、当時のカトリック教会の免罪符の販売などの間違いに対して反対の意見を述べたのが、宗教改革の始まりになりました。

宗教改革運動は、権力を持っていた多数派のカトリック教会に対して、改革を進めた少数派が抗議、プロテスト(protest)するものでありました。そして、1529年、「信仰のみ」、「聖書のみ」、「神の前での平等(万人祭司)」を大切なキリスト教の信仰の三大原理とするプロテスタント(protestant)教会が誕生することになりました。宗教改革運動の中心になっていたルターは、外から長く続く圧迫と苦しみ、命の危険に加えて、内からは不確実な未来に対する不安と絶望に陥ったときもありました。しかし、その中でも悪との戦いに勝ち、神と真理の前に立ち直り、進み続けました。ルターはどんな状況にも「神は避けどころ、砦」になると、そして、「神は苦難のとき、必ず助けてくださる」と信じていたからです。

そのようなときにルターは詩編46編から『神はわがやぐら』の讃美歌を作詞、作曲しました。力強い讃美歌であります。詩篇46篇は、イスラエルの民が、都城エルサレムが攻撃され危機的状況に、それも外的にも、内的にも不安と怖れに震えていたときに作られた詩であり、歌でありました。その後、ルターによる宗教改革は世界の歴史を変えて行く原動力となっていったのです。

個人のことも同様だと思います。私たちも正しく生きるためには戦わなければなりません。その戦いは内からのものも、外からのものもあるでしょう。そのような戦いのとき、私たちの避けどころはどこにあるでしょうか?讃美歌267番を心の中で力強く歌いながら、自分の避けどころを考えましょう。

 

酪農学園宗教主事 朴 美愛