【日曜メッセージ】「 しかし、主の言葉は 」(開校記念礼拝)

Date:2023.05.15

今週は学校礼拝(開校記念礼拝)からお届けいたします。

「人は皆、草のようで、その華やかさはすべて、草の花のようだ。草は枯れ、花は散る。しかし、主の言葉は永遠に変わることがない。」    

(ペトロの手紙Ⅰ 1章24~25節)

「主の言葉は永遠に残る」は、旧約聖書のイザヤ書40章7~8節からの引用です。かつて大国バビロニアの侵略で国は崩壊、有能な人々は奪われ、残された人々は希望を失い、国土は更に荒廃してゆきます。そんな中でこの言葉を用い人々を励ましたのが預言者イザヤです。ペトロの手紙もまた、人々が希望を失う時に、イザヤの言葉を用いて人々を励ましてゆくのでした。

時は1864年、デンマークは戦争に敗れ、国土の40%、それも国民の食料生産地をプロイセン(今のドイツ)に奪われ、九州ほどの広さへと国土は縮小します。希望を失い荒廃するデンマーク国民に、旧約聖書の預言者イザヤのようにグルンドウィ牧師が聖書に基づく三愛主義をもって復興を呼び掛け、人々の心を励まし、復興へと導くのです。それは今や国際競争力世界一の国へと導く原点となります。

その考えに共感したのが酪農学園創立者の黒澤酉蔵先生でした。「とわの森三愛」の「三愛」はグルンドウィ牧師の理念に基づく名称で、この学園には牧師の肖像画も置かれます。

この学園同様、戦後の同じ頃に大阪河内長野に設立された清教学園もグルンドウィ牧師の三愛主義をもって、戦争で荒廃した日本を再興しようと設立された学校です。創立者の植田真一先生もクリスチャン。学校に建立された石碑には、先程読まれた聖書の言葉が刻まれます。悲惨な戦争体験から、神なき教育は知恵ある悪魔を作り出すと、「この信仰に立つならば、どんな時代がきても安泰であると思う」と記すのでした。

この学校には希望の源泉の聖書があります。デンマークの人口は北海道と同じで国土は北海道の半分ですが、酪農を基軸に世界一の国際競争力を有します。北海道も聖書の言葉に励まされた人々によって世界的競争力を有する所になるかもしれません。夢をもって学校を立てた創立者の祈りに重ねたいのです。

(日本基督教団野幌教会牧師 福島 義人)