【日曜メッセージ】「新しいコンパス」(入学記念礼拝)

Date:2024.04.14

「聖書はすべて神の霊の導きの下に書かれ、人を教え、戒め、誤りを正し、義に導く訓練をするうえに有益です。」   (テモテへの手紙Ⅱ 3章16節)

皆さんの入学、進級おめでとうございます。新たな出発の時であります。礼拝を通して心を整え、新たにしましょう。礼拝は神と向き合う時間であります。

一人の少年がいました。茨城県の貧しい農家に生まれた少年は、14才の時に志を抱いて上京し、苦学をすることになりました。少年は17才の時に人生の転換期を迎えます。それは田中正造に出会ったことです。田中は足尾銅山鉱毒事件の救済活動のリーダーだったのでした。田中の人格に感銘を受けた少年は、田中の働きに参加することになりました。少年はその働きの中で監獄に入れられる経験もしましたが、その後、無罪で放免されます。しかし、この収監中に差し入れられた聖書を通して、新しい人生の方向に目覚めたのでした。

その後、北海道に渡った少年は、牛1頭を借りて牛飼いになり、洗礼を受けてキリスト者になりました。

この少年が酪農学園の創立者、黒澤酉蔵先生です。苦労の多かった黒澤先生の生涯でしたが、酪農学園の創立を始め、社会に大きな貢献が出来た実りある人生でありました。その人生にはコンパスのように行くべき方向を示す聖書がありました。

本校の「建学の精神」は「神を愛し、人を愛し、土を愛す」の「三愛主義」であります。この「三愛主義」を教えているのが「聖書」であります。聖書には多くのことばが記されていますが、一言でいうと私たちに対する神の愛と神に愛されている私たちが互いに愛し合い、神から与えられた土を始め、全ての被造物を愛すことを教えています。

皆さんは、価値観が形成される人生の一番大切な時に、人の生き方、行くべき方向が示された聖書に出会ったのであります。人生の新しいコンパスが与えられているのであります。聖書はコンパスのように皆の行くべき方向を示してくださいます。限られた高校生活であります。様々な出会いと学びが導かれますように祈ります。

(酪農学園宗教主事 朴 美愛)