【日曜メッセージ】「 受けるより与える幸い 」

Date:2024.05.19

「主イエス御自身が『受けるよりは与える方が幸いである』と言われた言葉を思い出すようにと、わたしはいつも身をもって示してきました。」   (使徒言行録20章35節)

聖書に登場するパウロは、イエス・キリストを命がけで伝えた人です。殉教の時が迫るのを知ったパウロが、告別の言葉として残したその言葉は、キリストの言葉で締めくくられています。『受けるよりは与える方が幸いである』。私たちは、この言葉にただ感動を感じるのではなく、実践することにこそ意味があることを踏まえる必要があります。私たちはその実践者となることができるでしょうか。

日本にも困窮の時代がありました。特に戦後の大変な時代、日本は諸国の多くの人々から支えられて、戦後の復興を実現したのでした。大変な自然災害に襲われたことも何度もありました。その度に私たちは支えられてきたのです。「恩返し」とは、その受けた恩恵を決して忘れずに返そうとする思いのことです。しかし、今日の聖書の言葉は、恩を受けたから返すこと以上の、さらに大切なことを教えようとしています。

今や社会インフラが整い、教育制度が整い、医療制度が整って、皆がスマホを当たり前に持つ時代、豊かな日本に生きる私たちですが、それでも不満を持ち、不足を訴え、受けることを求めるだけになってはいませんか。満たされていることを忘れて、欲望という現代社会の際限のない闇に飲み込まれていくことになってはいないでしょうか。そこには本当の喜びはありません。本当の喜びは与えることなのだとキリストは聖書を通して語りかけるのです。

本校では1997年から発展途上国の子どもを物心両面で支援する取り組みを継続しています。「チャイルド・ファンド」という活動です。昨年度もフィリピンの2人の子どもを1年間、支援することを実現しました。子どもたちの生活と教育の環境を守るため、私たちが力を合わせて集めた支援が用いられています。今年も皆の力を合わせることで、2人の子どもの支援プログラムを実現・継続していきたいと思っています。この活動の紹介動画を見てくれた皆さんに、近く、今年度のこのプログラムへの参加を募るお知らせを配信します。強い関心を持ってご覧いただきたいと思います。チャイルド・ファンドに関心を持った方は是非検索してみてください。

与える愛の実践者となるために、共に祈りましょう。

(宗教部長 久保木 崇)