【日曜メッセージ】「 違いを乗り越え 」(ペンテコステ記念礼拝)

Date:2024.05.26

「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる。」   (使徒言行録1章8節)

ペンテコステは、世界最初の教会の誕生を記念する時です。キリスト者というと、何か似たり寄ったりの人々の集まりのようなイメージを持つかもしれません。けれども実際は、考えも性格も違う人々の集まりなのです。日本人、ドイツ人と言われても一人一人みな違うのと同じです。様々な違いを乗り越え、神様がみんなの心を一つに合せて最初のキリスト教会が生まれた日がペンテコステでした。

この学園の設立には創立者の黒澤酉蔵先生、恩師の宇都宮仙太郎先生、雪印乳業初代社長の佐藤貢先生などのクリスチャンが中心で、教育の精神的な柱をキリスト教でしたいとの願いから、学園に牧師を招き、敷地内に教会まで建てるのです。それが野幌教会の始まりでした。1948年5月16日(日)のペンテコステ礼拝に、学校関係者と家族が集まり教会設立式をします。最初はわらぶき屋根の粗末な建物でしたが、後に会堂を建て、隣は学長宅、周囲に幾つもの学生寮が建てられて行ったのでした。

学園の設立には、当時の北海道の農業、畜産農家の置かれた状況がありました。多くが借金・負債を背負って食料生産を担う姿に、日本の将来をも考え、何とかしなければとの思いと、当時のデンマークの奇跡的な国の復興を覚え、それを北海道で実践したいとの思いが学園創立関係者の中ありました。かつてデンマークは国土の多くを戦争で奪われましたが、その危機的な国の状況を乗り越えさせたのが、グルンドヴィー牧師の指導、更にホイスコーレの教育機関の設置などがありました。たとえ貧しくて授業料が払ずとも、学ぶ機会を得る場が各地に創設され、それがデンマークの奇跡的な復興の力となるのです。北海道の農家の危機的な状況を見る時に、専門の教育機関設置の重要性を覚え、そうして酪農学園が立てられてゆくのです。学ぶ思いはあっても授業料を払えない若者には、生産物をかわりにして学ぶ場も用意され、そこには熱い思いを持った教師陣が集ったのでした。

何かを新しく始めるのは、資金面も理解者も含め沢山の困難があります。けれども様々な違いを乗り越え、神様の前に心を一つに合わせ、神様の不思議な導きの下にこの学園が始められたことを覚えたいのです。

(日本基督教団野幌教会牧師 福島 義人)