【日曜メッセージ】「違いを乗り越えて、 皆と一緒に生きよう」

Date:2024.06.23

主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。

彼らは剣を打ち直して鋤とし 槍を打ち直して鎌とする。

国は国に向かって剣を上げず もはや戦うことを学ばない。(イザヤ書 2章4節)

 「インド独立の父」と敬われているマハトマ・ガンジー。彼自身はヒンドゥー教徒でありましたが、「カーストによる身分差別の概念」を否定し、「多宗教と多民族の共生と平和」を願い、インド独立のためのインド憲法をつくりました。近年においてインド政府政権与党には、「ヒンドゥー教の国」として憲法を改定する動きがありましたが、8割の総人口がヒンドゥー教であるにもかかわらず、6月の総選挙において大半のインド国民はヒンドゥー至上主義を否定した形となりました。一つの宗教や民族を優先することで、大規模な紛争が起こり、国家が分断されて辛い禍根を残すことになってしまった経験がインドにはあるのです。

世界に目を向ければ、多様な社会の平和共存を否定するが故に、戦争が起き、多くの尊い命が失われています。そのような悲惨な状況をなくすには、何をするべきなのか、私たち一人一人が考える必要があるのです。私たちインドのプロジェクトでは、「村を元気にする」プロジェクトを展開しています。食べものづくりは、農村住民と都会の人々を結ぶ重要な平和をつくる仕事と考えています。

「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。」(イザヤ書2章4節)の言葉が浮かびます。もう一度この言葉の意味をかみしめ、分断や争いではなく、多様性豊かなインドで、平和共存のための活動を続けていきます。皆さんも参加してみませんか。

(インド・サムヒッキンボトム農工科学大学教授・三浦 照男)

〔講師紹介〕 インド・サムヒッキンボトム農工科学大学教授・継続教育学部学部長。酪農学園大学卒業の同窓生でもあります。インドにおける農村支援、農村リーダーの育成、女性の社会活動支援、農村の地域経済の活性化に向けたプロジェクトなどを推進しておられます。毎年帰国時には本校をお訪ねくださり、アジアの現状に対する視点と、国際社会の中で私たちが果たすべき役割について、大切なメッセージを語ってくださる先生です。