【日曜メッセージ】「 愛は生かすこと 」

Date:2024.06.30

「はっきり言っておく。一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ。」  (ヨハネによる福音書12章24節)

世界的に有名なキリスト者作家三浦綾子さん(1922~1999)がいます。旭川の生まれの三浦さんは闘病中に洗礼を受けた後、様々な難病に苦しみながらも創作に専念し、愛と信仰に根ざした多数の感動的な作品を残しました。その中の一つである『塩狩峠』は、実話を基にした作品で、映画にもなっています。

『塩狩峠』は1909年2月28日に発生した鉄道事故で殉職した長野政雄さんを主人公のモデルにして、愛と信仰を貫き多数の乗客の命を救うために、自らを犠牲にした若き鉄道職員の生涯を書いた小説であります。主人公の姿から『一粒の麦』になって、地に落ち多くの実を結んだ(命を救った)イエス様の姿が重なって浮かんで来ます。

『一粒の麦』とは、神がその独り子であるイエス様を地上に送ってくださったことを表しています。そのイエス様は人間の罪に対して、代わりの十字架の死によって愛を示して下さいました。これは神から私たちへの愛であること、そして私たちはその愛によって互いに愛し合うことを聖書は教えてくれているのです。

『愛』は『生かすこと』であります。私たちの行動が『誰かを、何かを生かすこと』であれば、それが『愛』であります。「三愛主義」を教育の柱としている本校では、私たちが神に生かされていることに気づかされながら、農・食・環境・生命を生かす大切さを学ぶことです。それは、実践して多くの実を結ぶという、共に生きる生き方を示しています。皆さんにとって、自分の中で一番大切なことは何ですか。礼拝の時こそが、自分にとって一番大切にすべきものを、聖書を通して考える時となるようにと願います。

(酪農学園宗教主事 朴 美愛)