【日曜メッセージ】「世界の平和を求めて」
Date:2024.08.11
「父である神と、その父の御子イエス・キリストからの恵みと憐れみと平和は、真理と愛のうちにわたしたちと共にあります。」 (ヨハネの手紙二 3節)
8月。毎年めぐってくるこの季節に、私たちは平和を希求する思いを日本国民として確認し、世界に発信します。8月6日の広島原爆の日、8月9日の長崎原爆の日、そして8月15日の終戦の日は、わたしたちが二度と戦争をしない国となる誓いを立てたことを思い、核兵器の根絶と、戦争なき対話による平和を実現する世界を追い求めて、心を合わせる時です。
本校前庭には広島の原爆で被爆した桜の木を親木とする若木が、今日も青い葉を風に揺らせています。春には満開の桜が咲き誇ったこの若木は、今も平和の祈りと共に成長を続けています。私たちの平和への思いも、その若木の成長と同じく、命をもって成長し続けていかなければなりません。それは建学の精神である「三愛主義」と「健土健民」にも通じる成長であるのですから。
人類は戦争が破壊と死をもたらす愚かな行為であることを、長い歴史の中で、特に20世紀の紛争と世界大戦において実体験したのです。我が国日本は、近隣諸国や世界に対してその苦しみを与えた事実を深く顧みながら反省し、武力・武器によらない、対話による信頼を少しずつ取り戻しながら、今日を迎えています。79年を経てなお、まだその道半ばにあるのです。しかし、いま世界では何が起きており、どうなっているのでしょうか。
折しも平和の祭典とされるオリンピックに注目が集まる中、ウクライナでの戦争は続き、ガザ地区での戦争が続き、今日も命の灯が武力という暴力によって踏みにじられ、子どもたちを含む尊い命が失われていく。生きようとする絶対不可侵の人間の権利が打ち壊されている。これをしているのは悪魔ではなく人間そのものであることを思う時、この戦争を止める責任が人間にあることを思わずにはいられません。これは他人事ではないのです。
今、私たちがなすべきは、誰かを疑い、万一のためにと戦争に備えることではなく、何としても戦争を回避する、戦争に至らないために、戦争をしないために、戦争を止めるために、あらゆる努力することそのものだと私たちは知っています。あなたの持つ平和を、全世界の人と共通に持つことができる社会の実現のため、いつも祈り、行動していきましょう。全ての人に、平和を希求し、それを実現する権利がある。そのことを知っている日本人として、世界平和を求め続けていきましょう。
真理と愛のうちに、神の恵みと平和がありますように。
2024年8月11日
酪農学園大学附属とわの森三愛高等学校 教員・職員一同