【日曜メッセージ】「平和の砦を築くために」(平和礼拝Ⅰ)

Date:2024.08.25

「無垢であろうと努め、まっすぐに見ようとせよ。平和な人には未来がある。」(詩編37編37節)

「だから、平和や互いの向上に役立つことを追い求めようではありませんか。」(ローマの信徒への手紙14章19節)

  79年前の1945年8月15日、日本の大きな戦争が終わりました。ヨーロッパでは、ナチスが崩壊しました。戦争は人びとの命を奪い、財産を破壊します。第二次世界大戦によって当時の世界人口の2.5%以上が命を奪われたとされています。今もヨーロッパや中東はじめ各地では多くのひとびとが傷つき、苦しみの中にあります。

 命を奪う戦争はなぜ起きるのでしょうか。戦後、キリスト教に出会い、伝道者となるハワイ攻撃総隊長の淵田美津雄氏は、「戦争は互いの無知から起こった。」と語っています。新明解国語辞典によれば「無知」とは「その方面の知識がないこと」、「頭の働きが非常に鈍いこと。ばか」とあります。逆に「知」とは、多くの知識を持ち、理解するために頭を働かすこととだと理解したいと思います。あなたは微分方程式、フランスの市民革命のことなど、あまり興味を持たないことも仕方なく学んでいるかも知れません。しかし、「学ぶこと」は、貴重な権利であり、あなたが平和を築くための大切なことなのです。

 ユネスコ(UNESCO)のことをご存知ですか?教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関です。『ユネスコ憲章』の前文に「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない。」と記されています。平和の砦を築くための材料は学ばなければ手に入れることはできません。

 「平和」とは、ただ争いがない状態のことではありません。他者との間で、互いを尊重することです。地球や宇宙の不思議なことを学び、知識を得て、互いの意見を聞くために耳を澄ませ、平和の砦を築いていきましょう。

(酪農学園大学名誉教授・日本ユネスコ国内委員 押谷 一)