【日曜メッセージ】「平和のための戦い」(平和礼拝Ⅱ)
Date:2024.09.01
「悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい。」 ローマの信徒への手紙12章21節
「平和」のための「戦い」という言葉をあえて組み合わせてタイトルにしました。平和のためには私たちは努力しなければいけません。戦わなければいけません。
聖書は、争いは国境から始まるのではなく、私たち人間の心の内側から出て来るという本質を語ります。私たちの心の内側にある欲望や恐怖の気持ちから始まっていくのです。
ところで聖書には、教会の信徒同士が揉めてお互いに「訴えてやる!」と裁判で勝ち負けを決めようという事が起こったことが記録されています。そのことに対して教会の指導者であったパウロは「お互いに訴え合う時点でどっちも負けです。どうしてだまされたままでいないのか」と言います。続けてパウロは「キリストの生き方を思い出しなさい」と言います。キリストは無実であるのに無抵抗のまま十字架で殺されました。たとえば国のリーダーが殺されるとその国は負けです。ところがキリストは勝ったのです。キリストが戦ったのは国でも人でもなく、人々を苦しめる悪の力だったのです。
「暴力の最大の弱点は、それが破壊しようとしてものをかえって増幅し、どんどんと連鎖して拡大するということだ。暴力で憎む人を殺すことはできても、憎しみそのものを消し去ることはできない。憎しみを消し去ることができるのは、愛だけである。」とキング牧師は言いました。
本当に戦うべき相手とは何でしょう。私たちが戦うべき相手、それは私たちの心を支配しようとする悪い力です。そう考えるとき、私たちの日常の中で少し自分を犠牲にすることで実現できる平和があるのではないでしょうか?嫌なことを言われても悪口で言い返さない、むしろ相手の幸せを願う言葉を投げ返す、とか。なかなか難しいことかもしれませんが、殺伐とした雰囲気が漂う今の時代にこそ必要な生き方なのではないでしょうか。
(日本同盟基督教団文京台レインボー教会 牧師 武田 将幸)