【日曜メッセージ】「愛の奇跡」(卒業記念礼拝)

Date:2025.03.02

 わたしたちは知っているのです、苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。希望はわたしたちを欺くことがありません。わたしたちに与えられた聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからです。

(ローマの信徒への手紙5章3~5節)

 

 卒業を迎える皆さん、高校生活は充実した楽しい日々でしたか。もしかしたら、うまくいかず、つらくいやなことに苦しんだかもしれません。どうしてそんなことになってしまったのでしょう。自分の努力が足りなかったのでしょうか。どんなにがんばって努力しても、どうにもならない、うまくいかないことがあります。それは努力が足りないからだと自分を責めて、また苦しくなります。

 聖書に、「苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生む」とあります。これを書いたパウロは、数えきれないほどのつらい苦難を味わった人です。それなのに「苦難をも誇りとする」とも書いています。パウロは、苦難を経験するうちに、それが忍耐を、練達を、希望を生むという不思議を、奇跡を味わったのです。だから、苦難にあってもうつむくことなく、胸をはって誇るのです。

 どうしてそんな不思議なことが起こったのでしょうか。パウロは、神の愛を確信していました。どんな苦難にあっても、それは自分の努力が足りない報いをうけているのでも、神の罰を受けているのでもない、神さまは自分を愛し受けいれていてくださると確信していました。神さまとの間に、なんの不安もなく、安心と平和を得ていたのです。苦難が希望につながるという奇跡は、神の愛によってもたらされたのです。

 苦難が希望を生み出すという奇跡、神の愛がもたらす奇跡は、わたしたちのかたわらにあります。苦難の中でなお平和を得る、そういう奇跡があることを信じ、希望にむかって旅立って行きますようにと祈ります。

(日本基督教団美唄教会牧師 久世 そらち)