全日制課程 卒業証書授与式 式辞

Date:2025.03.03

 本日ここに、卒業証書授与式を挙行できましたことは、この上ない喜びです。この素晴らしき時に、学校法人酪農学園理事長・髙島英也様、PTA会長・西村公一様、また江別市教育委員会教育長・黒川淳司様をはじめとした多くのご来賓の皆様、並びに深い愛情を持ち、日々お子様に寄り添い、今日まで育まれてきました保護者等の皆様、そして本校教職員と在校生に見守られて、先ほど、234名に卒業証書を授与することができました。卒業生のこれまでの努力と成長に心から敬意を表します。積み重ねた数多くの挑戦や経験等は、今後の人生における大切な土台となることでしょう。支援をいただいた全ての皆様に感謝申しあげます。
 皆さんは、建学の理念のもと、学習、学校行事、部活動、生徒会活動等に熱心に取り組み、3ヵ年の教育課程を無事修了され、高校生活最後の時を迎えると同時に、それぞれの人生を歩むための大事な出発点に立っています。新たな一歩を踏み出すこの時、どのような言葉を送るべきかを悩みぬいた末、まずは、この言葉に決めました。
 それは、『自分自身に問いかけること』の重要性です。「自分は一体どうしたいんだ」「自分はしっかりできているのか」「自分は本当にこのままでいいのか」正直、日常的に行うことではないのかもしれません。しかし、何か新しいことを始める、何かに失敗した、大きな壁にぶつかった、そして、誰かに足りない点を指摘された時等、「自分自身への問いかけ」を、客観性と冷静さを持って実行することは、自らの価値や課題を認識でき、さらに成長するための絶好の機会であり、自己改善と自己成長の好循環を生み出します。それでは、なぜ、そのことが重要なのか。
 授業やニュース等で、何度も耳にしていることと思いますが、私たちの目の前には、絶えず変わり続け、予測不能な未来が待っています。AIの出現により、学び方や働き方は変化・進歩しています。世界情勢や経済は不安定な状態が続き、地球温暖化の影響等による自然災害は一向に歯止めが効きません。少子高齢化が急速に進行し、それに伴い、海外から国内に多くの人材が流入しています。ある意味、地球や時代そのものが、大きな分岐点に立っていると言っても過言ではないでしょう。
 皆さんは、あらゆる事が激しくかつ加速度を増して変化・進化していく時代の中心に身を置いています。自身が理解し、判断・決断する前に、次々と新しい何かが生み出され、今以上に多様な状態が待ち受けているかもしれません。そのような中では、従来の常識が判断の拠り所にならない可能性があります。時に迷い、戸惑うこともありますが、都度、「自分自身に問いかけること」を試み、自身が今後、「どのような人生を歩みたいか」を追求してほしいと思います。
 校長としては、皆さんに「豊かな人生」を歩んでほしいと願います。それは、「喜び」や「幸せ」に満ち溢れた人生とも言えます。本校はキリスト教の精神に基づき、神を愛し、人を愛し、土を愛す「三愛主義」のもと、社会に貢献し、他者に「喜び」と「幸せ」を提供できる人間の育成を目指し、各人が有する価値観や考え方の違いを受けいれて、他者を尊重し、生かし合うことの大切さを日常的に説いてきました。それは、今年度の年度聖句「兄弟愛をもって互いに愛し、尊敬をもって互いに相手を優れた者と思いなさい。」(ローマの信徒への手紙12章10節)にも示されています。そこで、「豊かな人生」を歩むための助言を幾つか示します。
 学び続ける姿勢を持つ。学びは一生涯です。本や人との対話、失敗から得られる知恵等、その形は無限です。変化の激しい時代だからこそ、柔軟に新しい知識を吸収し、自らを更新し続けてください。
 人との繋がりを大切にする。共感と感謝を持って、今後関わる人々に接し、相互に支え合える繋がりを築いてください。
 勇気を持って挑戦をする。失敗を恐れるよりも、勇気を持って挑戦を選びましょう。どのような結果であっても、必ず、次への糧になります。「できるかどうか」ではなく、「やってみる価値があるか」を基準に決断してください。
 そして、自分を信じ切る。このこと自体が、皆さん自身を支えます。うまくいかない日があっても、迷う日があっても、自分の可能性を疑わず、進み続けてください。
 「答え」や「正解」は、すぐに見つかる訳ではありませんし、他者が導き出す「答え」と「正解」とが必ずしも一致する訳でもありません。しかし、自らを信じ、自らの夢や目標に向き合い、自らに問いかけ、試行錯誤を繰り返しながら、今後の人生を積み重ねていく。その先に、誰のものでもない、卒業生一人ひとりのかけがえのない「景色」や「風景」が広がっている筈です。ゆっくりで構いません。樹木が年輪を重ねるように成長してください。
 保護者の皆さまに一言申し上げます。本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。お子様が人生の節目をまたひとつ迎えられましたことに、喜びも一入のことと拝察いたします。成長を願い、これまで支えてこられた中には、ご苦労されたことも多かったと存じます。改めて、心より敬意を表しますとともに、本日まで、本校の教育活動にお寄せいただきましたご支援とご協力に深く感謝を申し上げます。
 最後に、卒業生の皆さんの輝かしい未来を心から祈念し、校長の式辞といたします。
 卒業おめでとうございます。皆さんと出会い、我々教職員も様々なことを学び、吸収し、共に成長をさせていただきました。ありがとうございました。

2025年3月1日
酪農学園大学附属とわの森三愛高等学校
校長 石川 和哉