【日曜メッセージ】「人を照らす光」

Date:2025.09.21

「闇の中を歩む民は、大いなる光を見、死の陰の地に住む者の上に、光が輝いた。」 (イザヤ書9章1節)

「言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。 光は暗闇の中で輝いている。」 (ヨハネによる福音書1章4~5a節)

 2018年9月6日未明、季節もちょうど今頃、大きな地震が胆振地方を震源に発生し、直後に広範囲で停電が発生しました。「ブラック・アウト」と呼ばれる北海道全域での停電は最終的な復旧まで数日を要する大規模な災害となりました。高校生の皆さんが小学生の時のことです。不安な日々を乗り越えたあの出来事を記憶する私たちは、そこからの教訓を得たと同時に、暗闇を照らす光の大切さを改めて知ることとなりました。

 今日の聖書の言葉は、私たちの世界を照らすまことの光があることを告げています。それがイエス・キリストです。私たち人間が神に対してした罪と、その罪の結末である死と滅びという絶望と暗闇から、私たちを救う存在(救い主)です。人間をもう一度神と共に歩む存在とするために、キリストの十字架という命の代価を支払ってまで、私たちを愛し抜かれた神による救い、それこそが福音なのだと、聖書は私たちに語りかけています。

 旧約聖書のイザヤ書は、このキリストがこの世に来てくださることを預言した代表的な預言書です。今日読んだ箇所のすぐ後にも、具体的にキリストの到来を預言しています。そして、そのことが本当に実現したことを新約聖書のヨハネによる福音書は証言しているのです。このように旧約聖書と新約聖書は、一致して、一貫して、キリストによる救いの光のことを記録しているのです。

 私たちが今生きている時代は、あまりにも多くの問題を抱えています。戦争に災害、貧困、病気、経済格差に教育の不平等、もっと身近なところにも、抑圧や暴力、偏見や差別、いじめ、無関心などが迫ります。まるで暗闇の中を手探りで進むようなものかもしれません。私たちを取り囲む闇に必要なものは光です。あなたを照らすまことの光に触れるとき、そこには救いと平和、和解と癒し、そして喜びと感謝が満ち溢れるのです。

(宗教主任 久保木 崇)